読書感想 気象遭難
羽根田治さんの気象遭難を読みました。
Kindle Unlimited対象です。
突風、落雷、低体温、暴風雪による遭難の事例が書いてあります。
このドキュメントシリーズは、どんな推理小説よりもハラハラドキドキしてしまいます。読みながら「引き戻るんだ」とか「遭難のフラグがたった…」「まさか、この人が亡くなるのかな」など、推理小説以上に行間を読みながら、想像しながら、はらはらしながら読みます。
それにしても、山に登る者として、学ぶことが多い書物です。
わたしが心に留めておきたいことばは
「たとえば同じ場所、同じ時期でも山の状況は気象条件で全然ちがってきちゃう。だから山で自分の安全を確保するためには、まず気象の変化による山の状況の変化に自分の技術で対応できるかが大事になってきます。」(気象遭難から抜粋)
わたしは、冬に同じ山に登っても天候次第では引き返すことも多くあります。雨が降るとわかっているなら、渡渉するルートはとりません。ガスっているときに道迷いしそうなところも注意を払います。
それでも、いざ遭難したときには、持ち物や装備が生死を分けたり、天候に対する知識で助かることがあるのです。山での対応だけでなく、山に登る準備段階から決まっているのかもしれません。
今のわたしが、悪天候に対してできることは極々わずかなのだと。
悪天候下の山には必ず超えてはならない一線があるということだ。天気が多少悪くても「このぐらいなの天気なら」と判断して行動を続けていると、必ずどこかで一線を超えてしまうことがある。それを知らず知らずのうちに超えてしまったときに、気象遭難が起きる。(気象遭難から抜粋)
九州には標高2000メートル以上の山はありません。
それでも毎年どこかで遭難があり、亡くなる方がいらっしゃいます。
低山だから大丈夫、慣れている山だから大丈夫、自分は大丈夫などの根拠のない大丈夫ではなく、何があっても対応できるから大丈夫と言えるようになろうと思いました。